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特別仕様が施された車両の時価額

目次

Q & A 特別仕様が施された車両の時価額

A. 同種同等の標準的な中古車を取得する場合の価格に、同種同様の使用を施した場合に必要となる価格を加えた金額を時価額とすることが考えられます。

A. ただし、特別仕様自体の価値についても、経年による低下を無視することは相当ではないので、新しく特別仕様を装備した場合の価格から,車両本体と同比率程度の経年による減価を考慮して,時価額を算定することが。

特別仕様が施された車両の時価額について判断した裁判例

事案の概要と当事者の主張

  • 軽自動車であるスバル・サンバー(初度登録平成14年8月、走行距離不明)が損傷し、修理費用49万円を請求する事案
  • 事故車両は、郵便物集配業務に用いるための特別仕様が施されていた
  • 加害者側は、車両時価額は、法定償却定率法と実働年数の連携考慮により31万7000円、多くても再調達価格である34万1000円を超えるものではないため経済的全損を主張
  • また、郵便物集配業務のための特別仕様が装備されている点は、中古車として販売する場合にはむしろ減価要因となるため、特別仕様の装備費用を損害額に加算することは相当ではないと主張
  • (大阪地判H21.10.7 交民41巻5号1298頁)

裁判所の判断 

上記事件の裁判所は、以下のとおり、特殊仕様が施された車両の時価額については、同種同等の標準車の中古車の取得価格に,同種同等の仕様を施した場合に要する価格を加えたものと解することが相当であると判示しました。

中古車の時価額の基本

損害評価額としての車両時価額とは,同種同等の中古車を取得した場合に必要となる価格と解される。

特別仕様を施した車両の時価額の算定方法

そして,控訴人車のように,標準車に事業用の特別仕様を施した車両で,当該仕様の同種同等の中古車の一般的市場がない場合については,仮に標準的な中古車を取得しても,同様な仕様を装備しない限り,郵便物集配業務用としては使用できないのであるから,同種同等の標準車の中古車の取得価格に,同種同等の仕様を施した場合に要する価格を加えたものと解することが相当である。

特別仕様について経年劣化を考慮

もっとも,特別仕様自体の価値についても,経年による低下を無視することは相当ではないと考えられるから,新しく特別仕様を装備した場合の価格から,車両本体と同比率程度の経年による減価を考慮して,時価額を算定することを相当と解する。

具体的な損害額の計算

以上に基づき,控訴人車の本件事故当時の時価額を算定する。
 平成14年当時の同型標準車の新車価格が92万3000円であるのに対し,本件事故当時に同種同等の標準車を中古車として取得した場合の価格は34万1000円であるから,控訴人車の本件事故当時の価格は,新車の約37パーセント相当額ということができる。
 そして,特別仕様価格は55万円と認められるから,平成14年に同架装をしたものとして,車両本体価格と同程度の減価が生じているとすれば,特別仕様の残存価値は,20万3500円となる。
 したがって,控訴人車の本件事故当時の時価額は,車両本体分34万1000円と特別仕様分20万3500円とを合計した54万4500円と認められる。
 そうすると,前記修理費49万4800円は,明らかに時価額を上回るものということはできず,経済的全損とはいえないから,控訴人車の車両損害は,修理費相当額である49万4800円と認めることが相当である。

特殊仕様を施した車両の時価額算定のポイント

特別仕様を施した車両(特装車)の時価額については、市場価格が存在しないことが多く、問題になります。

上記裁判例は、標準車に事業用の特別仕様を施した車両で,当該仕様の同種同等の中古車の一般的市場がない場合については,同種同等の標準車の中古車の取得価格に,同種同等の仕様を施した場合に要する価格を加えたものと解することが相当と判示しています。

同種の事案において非常に参考になる判示です。

特別仕様した部分は、その全額が認められると考えていいのでしょうか。

上記裁判例は、特別仕様自体の価値についても、経年による低下を無視することは相当ではないとして、新しく特別仕様を装備した場合の価格から,車両本体と同比率程度の経年による減価を考慮して,時価額を算定しています。

なるほど。

運送業では特別仕様を施した車両を使用することが多く、そうした車両について事故が発生した場合には、こうした裁判例を参考に適切な損害の賠償を求める必要があります。

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特別仕様車と特装車

ウィキペディアは、「特別仕様車」とは、特別仕様車(とくべつしようしゃ)とは、自動車やオートバイの装備品等を充実させ、商品の魅力を高めたモデルのことと定義し、自動車メーカーが生産し、有効な「完成検査修了証」が添付された自動車(完成車)に対し、特定の用途や目的の為に部品や装置を取付けたり、ボディやシャシに対して改造を加えられたものについては、「特装車」としています。

上記裁判例も、特別仕様を施した車両と表現していますので、業務上の必要性に基づき特別使用を施した車両は、「特別仕様車」というより、「特装車」と表現した方が適当なのでしょう。

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この記事を書いた人

松坂典洋
弁護士・社会保険労務士
運送業に特化する福岡の弁護士・社会保険労務士です。
20代前半、京都で人力車を引いていました。
就労実態が労基法や就業規則と整合しないことから、トラブルを抱えた運送業者様から多くの残業代請求事件等の依頼を受けています。
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