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デコトラのデコレーション部分の修理費用

目次

Q & A デコトラのデコレーション部分の修理費用は賠償されるか

A. デコレーションの損傷部部分の修理費用は損害と認められますが、デコレーションを装着していることが損害の拡大要因になっているとして、同部分の修理費用の5割を減額した裁判例があります。

A. デコレーションが、走行等の機能にどのような影響を及ぼすものなのかなどによって最終的な結論は異なりますので、デコトラのデコレーション部分の修理費用は当然に5割減額されるというわけではありません。

デコトラのデコレーション部分の修理費用の裁判例

事案の概要

  • 交差点における出会頭衝突事故によって損傷を受けた、車体にデコレーションが施された大型貨物自動車(初度登録、走行距離不明)の所有会社が、被告に対して修理費用852万9988円を請求した事案。
  • 被告は、車体のデコレーションは車両本体の機能に関係せず、また当該部分の修理費用が高額であるため、本件交通事故の相当因果関係の範囲外にあるとして過失相殺の法理に従い、多くともデコレーション部分の修理費用は5割程度が限度であると主張しました。

(デコトラ事件・東京高判H11.12.27 自保1328号2頁)

裁判所の判断

裁判所は、まず、デコレーション部分について、車両自体の本来の機能とは別個に、通常の方法で製造され通常の運行機能を持つ車両本体の表面に、車両所有者の特異な好みによって特別な「飾り」を取り付けている部分をいうものであって、車両の走行等の機能にプラスの影響を及ぼすものではないとの判断を示しました。

たしかに、走行の機能にプラスの影響がないと言われればそのとおりですね。

上記の判断を前提に、裁判所は、一部の部品等(22箇所中15箇所)は、走行にプラスの影響はないうえ、車両が損傷した場合にはむしろ損害の発生を増大させるから、原告側にもこれらのデコレーションを装着させたことによって損害の拡大に原因を与えたと評価できると判断しました。

そして、裁判所は、車両のデコレーション損傷による損害額を算定するに当たっては、かかる原告側の損害拡大に関与している事情をも斟酌して被告側に負担させるべき損害賠償額を定めるのが公平であるとして、デコレーション部分の修理等費用の5割を減額したのです。

デコトラを好むドライバ―からすれば納得できない判断ですね。

ただし、上記の判断はデコトラの装飾等が走行の機能にプラスの影響がないことや損害の発生を拡大させているという本件の特殊性を前提にしていますので、すべてのデコトラについて同じ結論がされるというわけではありません。

あくまでひとつの事例として参考にしていただければと思います。

デコトラの修理費用のポイント

デコトラの修理費用は常に5割減額されてしまうのでしょうか。

いいえ、そうではありません。

走行等の機能にプラスの影響がないことや装飾が損害の拡大に寄与しているという事案の特殊性が前提となっています。

デコトラといっても、その装飾の程度などは様々でしょう。
装飾の機能、役割、損害への影響など、具体的な事案によって損害額は異なります。
ただ、デコトラの修理費用が全額認められない場合があるということです。

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交通事故

関連条文・文献

民法抜粋

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

この記事を書いた人

松坂典洋
弁護士・社会保険労務士
運送業に特化する福岡の弁護士・社会保険労務士です。
20代前半、京都で人力車を引いていました。
就労実態が労基法や就業規則と整合しないことから、トラブルを抱えた運送業者様から多くの残業代請求事件等の依頼を受けています。
人力車のお客様に対するサービス同様にクライアントにも満足して頂けるように誠実に対応するのがモットーです。
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